TIS EXHIBITION

「110人のイラストレーターが描く 宮沢賢治 ことばと絵」展

TIS EXHIBITION

DMデザイン:タカハシデザイン室  メインビジュアル:水上多摩江 サブビジュアル:小泉由美 佐藤香苗 こみひかるこ 阪口笑子 信濃八太郎 にしざかひろみ 霜田あゆ美 洞 智子 吉實 恵 米村知倫 藤井紗和

 

2023年は『銀河鉄道の夜』で知られている宮沢賢治没後90年にあたります。そこでわたしたち東京イラストレーターズ・ソサエティは賢治の独特のことばを借りて絵を描いてみました。賢治のことばのかけらをイースト菌のようなエネルギーにして解釈ではなく、食べちゃいましょう、ということです。賢治も『これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません』と書き残しています。

イラストレーター110人が、賢治からもらった宝石のようなことばで彩るイーハトーブの森へどうぞ遊びにいらしてください。
 

【開催情報】

TOKYO ILLUSTRATORS SOCIETY PRESENTS
110人のイラストレーターが描く 宮沢賢治 ことばと絵

会期:2023年10月21日(土)〜10月26日(木)
時間:11:00〜18:00
10/23(月)、10/26(木)は16:00まで
入場無料 会期中無休
会場:ブックハウスカフェ2階 ギャラリーひふみ
主催:TIS「宮沢賢治 ことばと絵」展実行委員会
協力:一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ
企画協力:松田素子

写真左:会場内写真、写真中央:トークイベント『賢治を描く・賢治と遊ぶ』の様子。左から川上和生、飛び入りゲストの飯野和好さん、ささめやゆきさん、あべ弘士、松田素子さん、写真右:会場の1階のブックハウスカフェ店頭では、参加作家の絵本・児童書の特設コーナーが登場

 

【参加作家】(五十音順)
 

柴田ゆう
鴻 奈緒 はしびろ なを
村井和章

 

 

*関連ページ:TIS展覧会ニュース、トークイベント『賢治を描く・賢治と遊ぶ
*参加作家の絵本リスト、参加作家がインスピレーションを得た宮沢賢治著作リスト宮沢賢治のことばのかけらもご覧ください。

アイバカヨ

いてふの木

ある秋風の日 丘の上の1本のいてふの木は自ら全ての葉を落とします。子供たちを送り出す為に。イチョウは1年に1度銀杏を実らせ熟すとその実を落とすそうですが、賢治の眼差しはそんな自然に対しても心から敬意をはらい慈しみ 温かい心で受けとめ
感じている。私はこころがほっこりと温かくなりました。銀杏の母である『いてふの木』、賢治の眼差しに思いを馳せて描きました。

青木欣二

「家のような大きな岩と空と雲」

恥ずかしながら、初めて宮沢賢治を読んだ。好きになった。

赤池佳江子

白鳥停車場

『銀河鉄道の夜』でジョバンニとカムパネルラが最初に降りた駅が白鳥停車場です。
針がくっきり11時を指した大きな時計は、これから始まるふたりの不思議な旅を見守っているようです。

浅妻健司

どっどど どどうど どどうど どどう

『風の又三郎』を初めて読んだのは小学校の教科書だったか、何かの本だったか。
最初の「どっどど どどうど どどうど どどう」がすごくワクワクしたんだと思う。
話の筋はあまり覚えていなかったけど、最初だけはしっかり記憶に残っていた。

あべ弘士

『なめとこ山の熊』のニホンツキノワグマ

宮沢賢治作品はあまりやりたくなかったが、編集者M氏 の強引な依頼に負け描いた。
ヒグマはよく描くが、ツキノワグマは初めてだった。おもしろかった 。

新井苑子

『心象スケッチ 春と修羅』

「おれはひとりの修羅なのだ」
賢治は4月の日光の降りそそぐ草花に佇み、ひとりつぶ やきます。
「おれはひとりの修羅なのだ」と。

新井苑子

『風の又三郎』

わがやの東側のベランダには、うっそうとした樹木があり、ガラスのマントをまとった又三郎をよく見かけます。朝日にキラッキラッと輝く木漏れ日が風にゆれると、ガラスのマントをキラキラさせながら又三郎が駆けぬけてゆきます。

安齋 肇

キミハコノオッパイヲサワッタノカ

桑沢デザイン研究所入学の年、授業後に絵の得意な同級生が担任の宮沢先生に自作をみてもらっていた。先生は第一声「君はこのオッパイを触ったのか?」と彼に尋ねられた。横に居た僕にその言葉は鋭く刺さり、いまもぬけない。先生は「賢治」の親戚でいらした。

石山好宏

たゞいちばんのさいはひ

宮沢賢治はいつか気持ちと時間に余裕のある時にじっくり読みたいと思っていましたが、なかなかタイミングが合わないままここまできてしまいました。
今回は良い機会をいただけたと思います。

糸井みさ

銀の風

あの子がいると風が吹く。
銀の風にのって、溶けゆくあの子とLOVEな気持ち。

糸井みさ

チュウリップの光の酒

チュウリップの光をあつめて、おいしいお酒をご用意しました。
どんな気分になれるかな...?

伊藤彰剛

夏の海の色をしたチョッキ

猛暑の時期に描いたこの絵は、宮沢賢治のことばのかけら「夏の海の色をしたチョッキ」
夏の海の色が表現できたら少しでも涼しい気持ちになるかもと、黒兎に着させてみました。
宮沢賢治の物語とは少し違った、それぞれの物語を想像してもらえたら嬉しいです。

いなだよしえ

光の標本

光の標本、それはどんなものなのだろう。
おそらく静けさをたたえはっとするほど美しいものに違いない。
小さなそれでいて消えることのない光の粒が永遠に閉じ込められている。

伊野孝行

ゴオホ サイプレスの歌

サイプレス忿りは燃えて天雲のうづ巻きをさへ灼かんとすなり
サイプレスは糸杉のこと。賢治はおそらく雑誌の表紙でゴッホの絵を見たようです。僕はゴッホの絵から静かな感情を受け取るのですが、賢治は激しさに共感しています。二人とも37歳で生涯を終え、生前は認められませんでした。他にも弟や妹との関係、宗教……と不思議なほどに共通するところがあります。

上路ナオ子

KAKERA/1

お話の中に四又の百合という言葉は出てこないのです。
ほんの2億年ばかり前、どこかであったことのようなお話。
四又とは何を指しているのだろう。
何にしてもこんなにも美しいお話はそうはないと思うのです。

上路ナオ子

KAKERA/2

ある日お日さまがカツカツカツと厳かに体を揺すぶって東から昇っておいでになった時…冬になればほとんど毎日のようにお日さまが昇ってくるところを見ているけれど、私の街では寒さが足りないのかしら、カツカツカツと厳かに、、という感じではないのです。あれ、、それがどうしたの、絵と関係があるのかしら。双子の星のお話はそんなふうに始まって次から次へといろんな色の個性的な生き物が登場するのです。それから特筆すべきはハッピーエンドなのです。あなたにお子さんがあったとしたらこれはベッドで読んであげる物語としておすすめです。読み方を工夫できるとなおいいでしょう。カツカツカツ。

うにのれおな

星々を慈しむ

「天文台の星の係り」という言葉からインスピレーションを受けて描きました。「星の係り」という言葉自体がとても可愛らしく、とても気に入りました。星々が紡ぐ楽しい物語を地上の天文台から眺め慈しめるお仕事なんて私もやってみたいなぁなんて思いながら描きました。

えんどうゆりこ

夢みる呼吸

宮沢賢治さんの作品に出てくるオノマトペが大好きです。
あまり馴染みのない組み合わせのオノマトペでも、まるでその場で体験しているような、情景や肌触りまで感じられるような絶妙な言葉の重なりです。その重なりの一粒一粒を、葉や星などのかたちや色の一つ一つを通して表現したいと思いました。

大野八生

農学校の庭の菫たちの中で、
春の訪れと幸せを願っている、ひとときの賢治。

音部訓子

雲のレモンのにほい

夜空にプカプカ浮かぶレモン。甘酸っぱいにほいが漂い夢の世界へいざなう。

海谷泰水

月夜のけだもの

白熊が象に弟子入りに行ったというところ、そして逃げて来て「象めが私の鼻を伸ばさうとしてあんまり強く引っ張ります。」「鼻血を沢山出しました。そして卒倒しました」とライオンに話しているところが好きです。

加藤千歳

ラムネの瓶の月光

「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です」
ラムネの瓶の月光、青じろい焔の波、三つの影法師。
賢治が見せてくれた幻燈のうち、二枚目の十二月の幻燈を描きました。

加藤千歳

花の盃

「おお、湧きあがる、湧きあがる、
花の盃をあふれてひろがり湧きあがりひろがりひろがりもう青ぞらも光の波なみで一ぱいです。」
五月のひるすぎ、チュウリップの光の酒に酔う園丁と洋傘直しが見た光の波。
印象的な情景表現の言葉たちを元に描きました。

金子 恵

いちょうの実

冷たく澄みきった明けがた。旅立ちの日に。
ことし、おかあさんのいちょうの木から旅にたつ黄金色の子どもたち。
いちょうの子どもたちのおしゃべりに 耳をかたむけてみてください。

紙野夏紀

風景とオルゴール

美しいことばと力強さに惹かれました

川上和生

星めぐりのうた

賢治の童話、詩には音楽が欠かせない。
岩手山を望む羅須地人協会で賢治は自作の曲をオルガンで弾いた。

川上和生

かしわばやしの工房

賢治のセロのf字孔の中のラベルには青い絵の具で1926.K.Mと書かれている。
このセロを弾いて童話が生まれた。

川崎由紀

つつましく折られたみどりいろの通信

どうして小さな子どもは(時には大人も)草花やドングリや落ち葉や小枝を家に持ち帰るのか考え続けていました。小さな子どもが小さな手紙を小さく折りたたんで好きな他者に渡すように、他世界ともつながる通信網があるのかもしれないと、想像しました。

管野研一

天の楽音

一ぴきのちいさなちいさな白い蛾が天井のあかしのあたりを這つてゐる(車室の軋りは天の楽音)
[宮沢賢治 噴火湾(ノクターン)]から

北沢夕芸

プリオシン海岸

初めて『銀河鉄道の夜』を読んだ時からずっと忘れられない地名です

北沢夕芸

水星少女歌劇団

何の話に出てくるのか忘れてしまったけれど、ワクワクする名前。
悲しい話だったらどうしよう・・・

北住ユキ

「あの雲がアットラクテヴだといふのか」

この詩の意味はよくわからないものの、勝手に解釈して描いてみました。ーーとても魅力的に見えているものは、憧れや妄想がただイメージを膨らませていて実体より素晴らしいものに見えているだけなのかもしれない。でも そう見えていること自体が若さや純粋さなのかもーー

北谷しげひさ

注文の多い料理店

以前、教科書の仕事で『 注文の多い料理店 』を描きました。その時は、人物を中心に描きましたので、今回は 同じ作品で 料理人の山猫を描いてみることにしました。

北原明日香

天上のアイスクリーム

大切な人がおいしそうに食べている姿を眺めるのは本当に幸せな時間です。
天上ではそんな時間を二人で過ごしていることを願って、この絵を描きました。

北村ケンジ

ポラーノの広場

僕の名前はケンジ(賢二)ですが、由来は宮沢賢治と関係ありません。
読んだ物語も少なくて、子供の頃に『セロ弾きのゴーシュ』の絵を描いたような…。
自宅の書棚を見返すと『ポラーノの広場』の文庫本があったので、それを題材に描いてみました。

木村晴美

緑色のステージ

なんとも不思議な音が聞こえてくる、オオカミの遠吠えなのか、風の音なのか。
のどかな森で始まるステージのお知らせ。

草野 碧

ほんとうのさいわい

“ 「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニがいいました。
「僕わからない。」カムパネルラがぼんやりいいました。”
『銀河鉄道の夜』の二人のやりとりは、私に投げかけられたまま、今でもずっと漂っているような気がしています。あの時、彼らが見ていたかもしれない景色を描いてみました。

国分チエミ

I will always be smiling quietly.

宮沢賢治の代表作『雨ニモマケズ』の中でも特に好きなフレーズ「イツモシズカニワラッテイル」。そこからイメージを膨らませて、この絵を仕上げました。
”ほほえみ”を花言葉にもつイングリッシュローズがモチーフです。
「雨ニモマケズ、イツモシズカニワラッテイル」そういう人に、私もなりたい。

久保周史

main dish(注文の多い料理店)

物語ではいただけませんでした、残念。次を待ちます。(山猫目線)

桑原伸之

『よだかの星』

小学校の教科書で読んで賢治の『よだかの星』が深く心の中に残っていて大人になって何度も読み返し続けた作品です。代表作の詩『雨ニモマケズ』が賢治のすべてを表現しているように思っています。そして賢治の作品に出てくるカタカナ語が大好きです。

ゲレンデ

echo

凜と透き通ったアクアマリンに宮沢賢治作品から感じた物悲しさを見い出し描きました。
冬の空気に鳥の声が響いています。

小池アミイゴ

『何と云われても』

小泉由美

景色

自分ではどうすることもできない自然への絶望が印象に残りました。本の中、文字で表された部分でしか分からないけれど、彼の目の前にはどんな景色が広がっているのか、想像してみます。

こみひかるこ

わん、わん、ぐゎあ。

『注文の多い料理店』の終盤シーンをイメージして描かせていただきました。
扉をつきやぶって部屋の中に飛び込んできた2匹の犬。
とんとんとテンポよく進んでゆく展開が大好きです。

サイトウマスミ

青い栗の実

セロ弾きのゴーシュに出てくる、子ネズミとネズミのお母さん。
ネズミのお母さんの持ってきた一粒の青い栗の実をイメージして描きました。

斉藤美奈子ボツフォード

注文の多い料理店

『注文の多い料理店』を読む山猫少女、または山猫料理店のオーナー。
この物語を最初に読んだ時のワクワクが忘れられません。
世の中の片隅にはこんな不思議な次元があちこちにあるのじゃないかしら…

さか井美ゆき

No Music, No Life. No Books, No Life.

音楽も本も、人生に欠かせないものだから、
物語の中で音楽が流れていたら、それは一粒で二度美味しい。

阪口笑子

ガラスのマント

谷川の小さな学校にひとりの少年が転校してきました。それはさわやかな九月一日の朝のことで、靴をはいでだ、服も着ぃてだ、髪赤くておがしやづ、子供たちはいままで見たこともない少年を見て口々に言います。そしてそんなこんなの後、あっという間に高田三郎クンは風のように転校していってしまったのです。嘉助少年はつぶやく「あいづはやっぱり風の又三郎だったな」転校生が運んでくる未知のカルチャーはその後の人生を決定するくらいな事件、なのかも。

さかたしげゆき

雪渡り

宮沢賢治はちゃんと読んだことがなかったのですが今回色々読んでみて『雪渡り』に記憶があった。
たぶん教科書に載っていたのか「キックキックトントン」が頭の片隅に残っていた。

櫻井砂冬美

さるのこしかけ

夏の夕方、サルノコシカケに座る小さな猿達に誘われ楢夫はワンダーランドに。生前未発表の小説ですが、いかにも無邪気な子供の夢世界と、夏の日の終わりの、ホッとする様な夕暮れ時の風景が何とも言えぬ情緒感で描かれていて。目に浮かぶ、懐かしいような、牧歌的な景色が好きです。

佐瀬麻友子

注文の多い料理店

きみにだったらいくらでも。

佐藤香苗

貝の沓

「白い貝殻の沓」という単語を見つけて「痛そうだな」と思ったのが最初です。それは『双子の星』にサラリと魅力的に描かれていました。キラキラ眩しい空気に軽やかに澄んだ音楽が流れる美しい物語の世界。なるほどこれなら貝を履いて歩いても痛くないなと安心しました。

佐藤邦雄

雨ニモマケズ

高校入学時、ビクビクしながら開いた国語の教科書の初めに載っていた『雨ニモマケズ』。自分の人生モロモロ不安だらけの僕の体の奥に素直に響いた。そして、ソウイウモノニワタシハナリタイと思ったあの頃だった。この作品は宮澤賢治が死の直前に書いたものだとか。どんな気持ちで書いたのか…。そんな「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」をテーマにしました。

佐藤昌美

松の針

何十年かぶりに 『永訣の朝』を読む。最愛の妹 とし子(宮澤トシ)を喪った賢治の悲しみは慟哭だ。
とてもかなわない。 次の詩『松の針』で、ようやっと とし子への安息の願いと祈りを感じた。

3rdeye

告別

賢治が教師を辞める際に、生徒に向けて書かれた詩です。
イラストレーターを始めた頃にこの詩に出会い、厳しくも優しいメッセージがずっと心に残っています。

信濃八太郎

猫の事務所

猫の事務所というお話の、猫たちの奇妙な会話のやりとりが大好きです。
宮澤賢治はきっと基本的に冗談の好きな人だったんだろうなぁと感じさせてくれます。
どこまでも生真面目で透明で美しくも奇妙な冗談。

柴田ゆう

ことのはあつめ

宮沢賢治の多彩な言葉を拾い集めました。

下谷二助

宮沢賢治像

宮沢賢治は不愛想だ。その陰鬱な眼差しの奥底にたくさんのものを隠している。
ボクは賢治が嫌いだった。雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、、、の詩が物語る、
高潔すぎる理想主義が嫌いだった。でも今はわかる。
賢治もまた、自分にないものを欲していたのだ。(たぶん)

下谷二助

銀河鉄道の夜

花巻を走る銀河鉄道を描きました。

霜田あゆ美

洞熊学校を卒業した三人

ほのぼのした話だろうと読み始めたら、すぐに全然まったく違う匂いがして、真っ暗な穴にずるずると引きずり込まれて行きました。飄々と腹黒い三人です。先生も然り。この話にはオイルパステルをカリカリ削る技法が合うかなと考えました。印刷してスカーフにし、首に巻いたら苦しそうでいいなとニヤッとしています。

城芽ハヤト

密雲の国

令和5年この夏、取材で訪れた岩手県花巻は、重なる雲のアコーディオンからかすれた光の音が差し注ぐ『密雲の国』だった。ここは空が大きい。大地の全体が緩やかな凸レンズのような高原で、見下ろす土の縁までが、空のように見えた。

髙田和寛

「誰も見ていない昔の空」

この言葉から水たまりの先に見える空を描きました。
ふと湧いてくる感覚や大小さまざまな思い出、宇宙や古い時代に思いを巡らせるように、
少し立ち止まって心を遠くに飛ばす時間を大事にしたいと思いました。

髙田茂和

TULIP

本展示の為に抜き出された「言葉のかけら」を眺めているうちに、それは賢治が夢見た理想郷をつくるための「レシピ」のようなものだと思えてきた。全部を集めて鍋やらビーカーやらで煮たり混ぜたりしてつくるのだ。チュウリップ。その色鮮やかな明るい花は理想郷の材料としては少量でも絶妙なスパイスとなるのだろう。

田尻真弓

『猫』

ボクたち猫が嫌いって本当? いっぱいいっぱい猫のこと頭にあるよね
事務所だって ポラーノだって ゴーシュだって どんぐりだって クンだって 料理店だって。
ボクは知ってるんだ ボクら猫を落書きしてたの。
それって、もう。。。。。

タムラフキコ

賢治とモシ竜

岩手県立博物館に巨大なマメンチサウルスの骨格標本があります。そこに「賢治は地質に詳しくて茂師海岸など白亜紀の地層が表に現れている辺りに恐竜の化石が見つかるんじゃないかと考えていた」と書いてありました。そして賢治の死後日本で初めて恐竜の骨と認定されたモシ(茂師)竜の化石が発見されたとのこと。え? 賢治って何者? 一つの宇宙みたいと思ったのでした。

丹下京子

ペンネンノルデはつかれてねむる

賢治の『ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ』を読んで無性に絵を描きたくなった。意味は全くわからない。

ダイモンナオ

「夜空の下の銀杏の木」

宮沢賢治さんの作品から、私は、夜空・木・山・月星・動物をイメージしやすいです。その中で、今回は『いちょうの実』という作品から絵を描かせて頂きました。木を描くのが好きなのと黄色が好きなので、こちらの作品を参考にさせて頂きました。

天明幸子

"the fleeting moments of sweet happiness." つかの間の甘い幸せの瞬間。

主人公がキュンとして釘付けになった風景をすぐに描きたくなりました。
普段クチをとがらした子って描かないのですが今回は特別に。
私も息子がいますが、もう大きいので『手を引っ張って甘えながら話をしてくれること』って、この先ないだろうなぁと。
しみじみ羨ましくなり、このシーンをキャンバスに閉じ込めました♡。

なめき みほ

ほしあつめ

「天文台の星の係り」という、宮沢賢治のなんとも魅力的なことばから想像を膨らませて描きました。
宇宙のような海。海のような宇宙。星と共に生きるふたり。どこかの神話のような、不思議な物語を感じてもらえたら嬉しいです。

なめき みほ

いつかのどこか

いつか神話のような絵を描きたいと思っていました。
「青い神話」という、私の描きたいテーマそのもののような言葉と出会った時、今なら好きなように描ける気がしたのです。遠い昔のどこかで起きたかもしれない、神秘的な話を想像しながら描きました。

にしざかひろみ

銀の夜

「おまちしておりました こよいのひかりはかくべつです さあはじまりますよ こちらです!」

二宮由希子

あめゆじゅ

(あめゆじゅとてちてけんじゃ)。印象的なかわいらしいフレーズがくりかえされる『永訣の朝』は、最愛の妹トシが亡くなったその日に賢治が書いたもの。肉筆原稿にのこされた激しい推敲からは、深い悲しみが伝わってきます。賢治の願いがかなって、掌の雨雪が「兜率の天の食」に変わった瞬間を描きました。

野田あい

星めぐりの歌

宮沢賢治が作詞作曲した『星めぐりの歌』からイメージして描きました。

野村俊夫

なんとなく賢治

あれやこれや考えるうち、回りまわって無になりました。
考えるな、感じろ。

野村美也子

春のヴァンダイクブラウン

『春のヴァンダイクブラウン』のことばのかけらから
土けぶる匂いと春めぶく音をイメージして描きました。

はぎのたえこ

宮沢賢治

宮沢賢治という人物をわたしの視点で表現してみました。

鴻 奈緒

酔えば天国

宮沢賢治は色々読んできたけれど知らない作品もまだまだ多くて、これもその一つです。お酒はとても美味しいですが、酔うのに必ずしもアルコールが必要ではないのだということを思い出させてくれます。酔う時の心地よさと美しい酔っ払いが描けていたら嬉しいです。

濱 愛子

1 8 9 6‐1 9 3 3 ‐2 0 2 3

幼稚園の頃親に連れられ境界のない賢治の世界に触れて心が静かに弾んだ。就職先で『space&space nature』シリーズを作る1933年生まれの上司についた。気づいたら空間はテーマの1つとなっていて、賢治くんは今もそこの木陰にいるみたい。偶然の出会いが私の核を作ってくれていると感じている。

原口祥絵

銀河鉄道の夜

色やその場の空気 ニオイが伝わってくるようでした。
桔梗の花と桔梗色の空を描いてみたくなりました。
鳥捕りから逃れた渡り鳥は自由に空を飛んでいました。

ビオレッティ・アレッサンドロ

夢想人

宮沢賢治が歩きながら物語の事を想像する瞬間を表現したく、
夢想のような次元を描きました。

引地 渉

8γe6α

はい まったくそれにちがひません エイト ガムマア イー スイツクス アルフア
ことにもアラベスクの飾り文字

平澤一平

宮沢賢治、いろいろ

この時点で、まだ何を描くか決まってなく・・・
正直言ってどれも良いので迷い中。
盛岡に行った時、啄木・賢治青春館で賢治の憧れの先輩が啄木というプチ情報を知りました。

廣中 薫

The Nighthawk Star ~ 星になるまで~

『よだかの星』を読み返すと…昔も今も、身体の外も内側も、"自己肯定"は遠い自分。絵を描くことで星になれずとも、気持ちを開いてきました。この短編の不条理な世界、果てしない空と星…星になるまで 、心象風景と美しい情景、大きな世界観。よだかのいる空、(星を目指すよだか) を描いてみたくなりました。

廣中 薫

The Nighthawk Star ~ 小さな星~

星となったよだかを描きました。

藤井紗和

水素の苹果(りんご)

「きしやは銀河系の玲瓏レンズ
巨きな水素のりんごのなかをかけてゐる」〜『春と修羅』青森挽歌より〜
賢治作品の中には苹果(りんご)がたくさん登場する。
ユニークで表現力豊かな賢治独特のイメージに惹かれ、賢治の世界と宇宙を想像し苹果の絵に思いを込めました。

藤井ちひろ

日曜日

「茶いろのひのきでできあがった、しずかな綺麗な日曜日」ということばがとても印象的でした。
まず初めに茶色のヒノキ、寒い冬のヒノキを想像しました。そんな日曜日の絵です。

藤原徹司

消えるのか? 笑うのか?

小学校の授業で触れて以来、そんなに深く考えたこともなかったのに強烈に心に残っている「クラムボン」という語感。結局のところその正体はいったい何なのか? あまり答えを出すことにこだわらないで、いま一度考えてみました。

藤本紘希

グララアガア グララアガア

『オツベルと象』の白象をモチーフとした作品。不安や怒りが限界を超え、爆発することにより、多くのものを失い、誰にとっても良い結果とならないことを白象から感じる。
「個人の尊厳」「相対的平等」「相互理解」の大切さを改めて考える。

古谷充子

まっ黒な大きな大きなもの

双子の星のチュンセ法師とホウセ法師にさまざまな試練が降り注ぎ続けます。
まっ黒な大きな大きなもの、現れたら嫌だなあ。

洞 智子

水星少女歌劇団一行

水星少女歌劇団の二人が飛んできたドラゴンについて
あーでもないこうでもないと話しているところを描きました。

堀川直子

イギリス海岸

『全くもうイギリスあたりの白亜の海岸を歩いてゐるやうな気がするのでした。』
賢治が北上川の中流の辺りをイギリス海岸と呼んでいたことを知って、心が通じたような少し親しい気持ちになった。私もきっと筋金入りの西洋かぶれだ。今は白亜の泥岩が見当たらない北上川に、まだ見ぬイギリスの海岸を重ね合わせて描いてみる。

前川明子

PAPER DANCE

「紙の服着てタンゴを踊る」という一節に惹かれて、作業台の上でダンスを踊っている様子を絵にしてみました。「PAPER DANCE」というタイトルは、ペーパードライバーのような、まだ未熟な仮のダンサーをイメージしてつけました。普段の仕事とは違う描き方を試しています。

マコカワイ

風のシグナル

世界は決して甘くはないけれど、向かい風でも歩いて行ける人間の生まれ持った強さを、
宮沢賢治は信じているのではないかと思う。

マスリラ

風野又三郎

風野又三郎と風の又三郎、別のお話って今回初めて知りました。栗の木の下に行くと会える風野又三郎はまさに風の精? 風そのもの? 世界中を飛び回っているお話がダイナミックで面白くて想像力をかきたてられます。最近近所の干潟に来る渡り鳥を追いかけているので余計に空をあちこち飛び回る風野又三郎に強く惹かれます。ドッドドドドウドドドウドドドウ

真鍋太郎

misterious gravity

宮沢賢治はシュールだ。

真々田ことり

ガラスの小鳥

雪解けの季節の美しい景色を想像し、その多幸感を味わいながら描きました。

丸山一葉

チュウリップの幻術

2人の初対面の男がチュウリップから揮発される光の酒に酔って仲良くトリップするという、
シュールなシチュエーション。賢治さん、変なこと考えてますね!!

丸山一葉

水仙月の四日

子供の頃感じていた自然のままならなさ、優しさを思い出す。
賢治さんのセンスオブワンダーに心ふるえる。

丸山誠司

「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」

『注文の多い料理店』は、最初に国語の教科書で読んで以来ずっと好きなお話です。

Marron

ダァリア

子供頃家にあった『ツェねずみ』という賢治の作品集は、色々と当時のお話の常識を軽く超えていて面白く読んでいた。その中で美しい絵が浮かんだ『まなづるとダァリヤ』から。

Marron

オツベルと象

象を描くのは初めて。
元気な象たちが仲間のためにオツベルの全てを破壊していくのが面白かったので。

MIKITAKAKO

燐光

宮沢賢治作品の中で今の気分は銀河鉄道の夜です。
哀しいような、落ち着くようなそんな気持ちを込めました。

水上多摩江

種山ヶ原

山歩きが好きです。『種山ヶ原』を読むと山で出会う霧や雷や風、
山の妖気などが蘇ります。それらは生き物のようです。
宮沢賢治はきっと体験したままを描いたのではないかしら。
宮沢賢治の作品に乗っかって自分の体験も描いてみました。

水上みのり

銀河への旅

岩手の海岸を歩く賢治。冬の海岸線にはケンタウルス座が地平線に見える。

水上みのり

ほしめぐり(炎)

賢治作品全般からのイメージです。動物たち、人、星と夜空、そして貝の火。

ミヤザキコウヘイ

SL銀河

観光列車「SL銀河」を制作しました。

村井和章

いちょうの実

いちょうの木の黄金色の姿が一夜にして、葉を落とすのを見てドキッと心を揺さぶられる思いがしていた。宮沢賢治はその別れを物語にした。母であるいちょうの木が子どもらの旅立ちに悲しんで扇形の金色の髪の毛をみんな落とす物語である。こどもの実は「ぼくなんか落ちるとちゅうで目がまわらないだろうか」「さよなら、おっかさん」子どもらは雨のようにとびおりました。

村上テツヤ

目覚め

死んでしまった(眠っていた?)犬達は、バターの香りで目を覚ましたのでしょうか? 

最上さちこ

「光の中の二人の子」

詩集『春と修羅』の一編にあるこの言葉を借りて賢治の童話に初めて出会った子どもの姿を描きました。

最上さちこ

「光の中の二人の子」/子らを包む夜

子らは物語とともに眠りにつき、静まりかえった夜は動物たちの時間です。

もとき理川

ぶぢぶぢで

子供の頃は読むのが億劫だった花巻ことばの濁音の多さ。私が育った九州のことばは、タ行やカ行の音は目立つが、濁音はあまりないからか。さて、ミュージカルのようなこの短編、鹿が花巻ことばで喋るわ歌うわの大騒ぎ。歌に出てくる「ぶぢぶぢで」という言葉、ぜんぶ濁音(笑)。50年の歳月を経て不思議にツボって、しばらく笑ってた。

森 学

「水素よりもっと透明な」

宮沢賢治の言葉は時間を越え今も進行形の未来として目の前に存在している。
宮沢賢治が記した「水素よりもっと透明な」はどんな色だろう。
ことばに思いを馳せ、描きました。

山口マサル

クねずみ  

宮沢賢治の作品の皆さんご存知のものも多いので、
なるべく『へ〜そんなのあったんだア』って思うのにしました。
貴方、ごぞんじでした??

山崎綾子

この森(世界)のいとしきものへ

「ともに生く いとしきものは この森に 優し美しく まほう輝く」
妹弟や生きものへのいとしさが溢れていた賢治の生きる姿。
動植物の心を知ることのできるまほうの力を感じます。

山下以登

どんぐりと山猫

<あしためんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでください。 山ねこ拝>
冒頭、はがきが届くところからもうワクワクが止まらなくて、道中のテンポがとんとんと小気味よくて、生真面目なのだけどどこかズレたまんまのキャラクターたちの滑稽味が愛おしくて、ラストの2行が完璧、すき。

山本祥子

山男の四月

「飴というものはうまいものだ。天道は飴をたくさんこさえているが、なかなかおれにはくれない」なんていう、人間の世界と自然の境界に住む山男のひとりごとが魅力的。野生の獣の体臭を嗅ぐような生臭さを含んだ春の景色が「山男の四月」というタイトルで表されていると思います。

山本祐司

クねずみ

クねずみの最後はスッキリするほど残酷に終わる話、その残酷の1分前の絵。

山本由実

春のヴァンダイクブラウン

銀の風、5月の黒いオーヴァコート、しんとした青い羊歯…
宮沢賢治の文章に散りばめられた魅力的な言葉のかけらからイメージを膨らませて描きました。

吉實 恵

黒ぶどう

『黒ぶどう』はとても短いお話です。寓意が込められている、と解釈されているようですが、わたしは言葉のリズム感、狐と仔牛の噛み合わない価値観、意外な展開を単純に楽しみました。東北の、長閑でどこか西洋の香りもする物語を、絵にしたいと思いました。

米村知倫

農民芸術

『農民芸術概論綱要』からイメージしました

若林 夏

雨ニモマケズ ( Mr. Dekunobo's life)

この登場人物。
雨にも負けない丈夫な主人公デクノボーさんはどんな雰囲気の人かなあと。
想像することを楽しんでもいいですよね。きっとデクノボーさんは怒らないですよね。