COLUMN

イラストレーターのビジネス知識

2020.09.07

著作権のことをもっと知ろう 第7回

Q政治家は「公人」の扱いで、絵に描いたりするのに許可はいらないと聞きましたが、公人の範囲とは?
A公職にある政治家や公務員など。社会的な立場にある個人(学者、芸能人、スポーツ選手など)も含まれます。
公人とは、「公職にある人。公務員・議員など。また、社会的な立場にある場合の個人」(デジタル大辞泉)といわれています。同じ公務員でも、上級職のキャリア官僚の場合もあればノンキャリアの場合もあります。また、「社会的立場にある」といっても、その区別の基準が曖昧です。一定の事項を決定する権限があるとか、他人を指揮命令する立場にあるかどうかが目安になると思います。過日、天皇ご夫妻が私的旅行をされた際、高校生がたまたま駅でその姿を認め写真に撮り、ネットにアップしたことがありました。この時の宮内庁の見解は肖像権を問題にしないということでした。公人一般についても、公務に従事している場面では肖像権はないと考えてよいでしょう。ただし、肖像権的に問題がなくても、写真等を参考にする場合はその著作権に配慮する必要があるでしょう。

問題は公務を離れた状態、その人を公人たらしめる活動から離れている時です。本人の私生活の領域に立ち入って、客観的に(誰が考えても)公表されたくない事項を絵に描いて公表するのは、プライバシーの侵害になります。事件など「報道の自由」が認められる場合を除き、本人の許諾が必要でしょう。

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