The New York Times Magazine 表紙
特に印象深いのはThe New York Times Magazine の表紙のイラストレーションです。(2009年6月)
いいディレクター(Arem Duplessis氏 / 後にAppleのクリエイティブディレクターに就任)と仕事をすることで
僕たちのポテンシャルを引っ張り上げてもらえた仕事でした。
2008年頃、海外営業をスタートし、(海外営業についてはこちら)
レップを通して、少しづつNYの仕事が入って来るようになりつつあった ある日、
ダイスケが届いたメールを見て、興奮のあまり口をパクパクさせていたのを今でも覚えています。
「これで人生が変わる!」と舞い上がりましたが、現実はニューヨークで雑誌の表紙を飾っても、日本では知る人がいません。
むしろ広島の広告賞を取った方が、みんなに祝ってもらえるという状況で、肩透かしをくらった気分でした。
しかし後に、その時の仕事がニューヨークの「ADC 89」で銀賞を獲得したり、
いろんなメディアに掲載されたりしたことで、少しずつ周りの反応が変わってきました。
翌年には、アメリカの広告代理店から、National Train dayのコンペに参加しないかというオファーが来ました。
「NATIONAL TRAIN DAY」 (以前 井筒啓之さんにご紹介いただきました!ありがとうございました)
その他の作品はこちら
Behance - IC4DESIGN
MAD TIGER
ドキュメンタリー映画のポスターです。初めて海外(アメリカ)から直接、依頼が来ました。
英語だと細かなニュアンスが伝わりづらい為、日本語対応を条件に、引き受けました。
アナログで製作しましたが、納品はポジフィルムで( Fedexで発送)。外国からの送金等、初めてのことを、いろいろ経験しました。
その後、映画は世界を周り、DVDになり、BGMは今時珍しいLPレコードになりました。CDジャケットはいくつかありますが、LPの仕事は初めてだったので、とても嬉しかったことを思い出します。
小池アミイゴ 「汗の贈り物」の挿絵 ~1999年
マガジンハウス”Olive” 400号記念号に掲載された小説、「汗の贈り物」レベッカ・ブラウン:著、柴田元幸:訳 の挿絵。
・編集担当:黒瀬朋子さん。
黒瀬朋子さんとの密なるコミュニケーションから生まれたイラストレーションは、自分の仕事のあり方を決定づけるものになったはず。本誌発行後も、掲載された小説の朗読会や、作家のウエルカムパーティーの企画などをお手伝いし、その後の書籍化でも装丁画を担当。そこからさらに次の仕事へと繋がっていったのは、今思えばとても自分らしいことだと思います。
Martha Stewart Living "vive la tarte!"
まだSNSも活発でなかった時代、私を、私の作品を遠くまで連れて行ってくれたのが、Martha Stewart Living (雑誌・米国)。
焼きあがったタルトを載せる「お皿」を担当したこの記事は、翌年のADC賞雑誌部門で銅賞を獲得いたしました。
その後、ヨーロッパで発刊された際にも掲載されたり、ニューヨークのイベント「American Made」にも参加させていただいたり。全部ひっくるめてパーソナル・ベストだな、と。
お菓子のパッケージデザイン(個装袋、外箱、ラッピング用袋、ロゴマーク)
パソコンが家庭に普及し、イラストレーションも、原画ではなくデータ入稿に切替わった頃、その環境に合わせつつも、自分にはどうしてもイマイチ、ピンと来ていないものがあり続けて居りました。仕事では、とくに原画主義への拘りは無く、良くなるものならば何でも構わないたちでしたので、PCで手描きの画像に加工を加えています。ただ… そうしていながらも、本来、伸びやかでラフな水彩や鉛筆の《自然な美しさ》を愛する人間としては、出来れば、もっとよりよくプレゼンテーション出来るようになれないものかと、内心で願い続けて来たのです。そこで、2010年代にはとうとう、通学し、画像加工法やデザインソフトや、動画、HTMLコーディング等を学習しました。Windowsには便利なフリーソフトが多く、概略とはいえ、学ぶ事は、自分が日常、何をしているかを理解する事であり、重要な分岐点となりましたが、それはただ本人の中でのみ起きたこと。仕事にそれらが上手く活きて来るのは、当然、少し先のことでした。こちらのお菓子のパッケージ類の仕事は、去年秋口から今年初夏にかけて、全国の店頭に並んでいたもの。日々、人知れず行って来たささやかな学びたちへの(あくまで私ならではの)解答、ということで、これらを、個人史的な近年のパーソナルベストとして、デザインして頂いた潮亜希子さん、大井いずみさんへの感謝と共に、ひっそりとあげておきたいと思います。
(【商品のリンク】 ←※ コチラは掲載期間に期限有りそうなので、あしからずご容赦を)
「pray」のWeb広告 〜2003年
・こども用スニーカーplay、ブローシャ、Web広告、ポスターについて
・C:佐藤卓也 D:大溝裕 Flash:根本真路
ジャクソン:2001年に描いた虫の絵がplayのWeb広告に繋がったということですが…
都築:繋がるまえに、こいつはラディカルなアイデアだなと感じたんです
ジャクソン:ラディカルとはどういう意味ですか?
都築:それについては2004年の展示「Firelight in SET04」で解説しています
ジャクソン:firelightとは根本真路さんとのユニットですよね
都築:根本さんにはFlashを担当してもらいました…今となっては懐かしい笑
ジャクソン:たしかにあの頃はFlash全盛でした
都築:このfirelightの展示で単線型のフローチャートを提示しました
ジャクソン:Web以外のブローシャとポスターのデザインは大溝裕さんですね
都築:紙全般のデザインが大溝さんで、キャラクターや背景のイラストをぼくが担当しています
ジャクソン:Webとブローシャを貫くナラティブのアイデアは都築さんですか?
都築:すにで大広のコピーライター佐藤卓也さんがストーリーを書かれてました
ジャクソン:ということはWebのコンテンツも同時に受注したわけですね
都築:Webについてはこちらから「やりましょう」とお誘いしたんです
ジャクソン:おや、そうでしたか
都築:あとは佐藤さん考案のストーリーに乗せるだけというか…
ジャクソン:ともあれこのWebでやられたインタラクティブのアイデアがその後に繋がっていく…
都築:いいえ、繋がったのはポスターで描いた「虹」の方だったんですよ
ジャクソン:え!それは意外、失礼ですけどありふれてますよね虹って
都築:虹をどう描くかに興味があったんです、じつはこれも2001年の個展がヒントになっています
聖書絵本シリーズ エザウとヤコブ
デザインにこだわった児童書で有名なチェコの出版社Meanderとの仕事。
子供のために旧約聖書を書くストーリーで作家を変えてシリーズにするというMeanderが力を入れているプロジェクト。
仕事につながったきっかけは、私のプラハの美術大学の教授が毎年開催しているブックフェア。
小規模ながらも質の高い出版物を出す版元が集まり、町じゅうで読み聞かせやプレゼンテーション、ワークショップなどが開催される手作りの雰囲気の良いイベント。
私は良さそうな各スタンドを見て、良さそうな出版社に片っ端から声をかけて本を見せて回りました。結局仕事につながったのはその翌年のおなじブックフェアで、そういえば今こういう企画あるんだけど興味ある?みたいにタイミングよく始まった感じです。
他の仕事もチェコでは足とタイミングでとったものが多かったのです。
ヨーロッパの多くのイラストレーターは国をまたいでブックフェアや個人出版販売を受け付ける本屋を回って人に会い、作品を露出し、ビジネスチャンスを狙います。
この聖書はチェコ語のテキストがワードで送られてきただけで、期限も曖昧、台割もなし。
レイアウトも版下作りも、文字のレタリングも全部イラストレーターの仕事でした。
顔がアジア、服が着物と言われながらも喜んでもらえたようで良かったです。
小規模出版社はプライドを持って作りたいものを作る、デザインにこだわるという傾向があり、仕事は周りの信頼の置けるデザイナーやイラストレーターで回っています。
予算のなさはアーティストにも影響しますが本の生まれ方としてはとても健康的。問題はマーケティングとプロモーション(チェコ語で出版すると自動的に1000万人のチェコ人マーケティングになってしまうため)それでもやはり凝った本、面白い本、子供のためだけどとんがったデザインのものが並ぶチェコのブックフェアはとてもいいし、ワークショップも仕事とおなじプレスを使っての版画や機材を使ってのアニメーション作りなど。子供のためのアート教育が豊かだなと感じます。