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2013.04.25
「井上ひさし展 -21世紀の君たちに-」に山下勇三挿絵も
日時:2013年4月20日(土)~6月9日(日)
場所:神奈川近代文学館(横浜・港の見える丘公園内)
直筆原稿や蔵書、ひょっこりひょうたん島の人形、こまつ座のチラシなど膨大な資料により井上ひさしさんの全仕事を網羅した見応えのある展示です。
父・山下勇三が手がけた挿絵も「一分ノ一」「黄金の騎士団」「一週間」から数点ずつ展示していただいています。
井上さんはグラフィック感覚も優れた方で、原稿の1枚目にご自身で書かれたタイトルがロゴデザインされていて美しい。吉里吉里人をはじめ、地図や見取り図など著作のための設定資料も素晴らしいのです。「黄金の騎士団」の設定資料の端には父が描いた家の見取り図のコピーが貼られていました。これは父もよく「連載中に、部屋の位置の整合性が間違っていたことがあったので描いて渡した」と往々にして自慢していたものです。原稿が間に合わなかったときに挿絵用として書かれたあらすじメモなども一部展示されていますが、「このシーンが絵になるかも」というご指示も入っており、視覚的なイメージ感覚もすごくおありな方だったんだなあと思いました。
(そもそもが脚本家でもありますし当然のことなのかも。)
そして驚嘆するばかりの先見の明…。
安野光雅さんの装幀原画も展示されております。原画ではありませんが和田誠さんの手によるこまつ座のチラシ、ほかにも初期の著作の装幀や雑誌挿絵などああ、こんな方も描いておられる、などと興味は尽きません。
松山巖さんによる構成、井上さんが生涯を賭けて取り組んだテーマを立体的に浮かび上がらせるキュレーションが秀逸です。
ロケーションも最高です。これからの季節、バラ園が見頃になる「港の見える丘公園」には大佛次郎記念館やイギリス館などにもあるし、横浜そごう美術館の山口晃展などとはしごするのもオススメです。
(最寄り駅・元町・中華街駅です。駅のエレベーターで出口6まで登ってから歩くと平坦で行きやすいです。地上出口から行くと公園入り口からたくさん階段を昇ることになりますのでご注意を。)
「一週間」井上ひさし(新潮文庫)
こちらは最近、文庫化されました。単行本時と同じく、中にもたくさん挿絵を入れていただいています。こちらの表紙原画も展示されています。