東京イラストレーターズ・ソサエティ - Tokyo Illustrators Society

わたべめぐみさんの仕事「Anesthesia」(木内達朗)

2014.04.15

  • この仕事、好きだなぁ

今回僕が紹介するのはわたべめぐみさんのお仕事、ART-SCHOOL・10th Anniversary mini album 「Anesthesia」ポニーキャニオン・ジャケット、ブックレット用イラストレーションです。

わたべさんは2008年に、ペーターズギャラリーコンペ峰岸達賞を受賞し、その湿度の高い独特の世界観に度々注目してきました。

ヨーロッパの最果ての地のような薄暗い森に佇む少女達や動物、楽しげなはずのサーカス団の飾りや喧騒も彼女の手にかかると悲しみを持って表現されます。人物の表現も独特で、オフィーリアのように生きているのに死んでいる、青白い肌にもかかわらずやけに赤い唇や頬が特徴的です。

このブックレットの表紙も構図的に素晴らしいのですが、僕は最後のページ、少年少女が手を繋ぎ、見上げた背景に複雑な枯れ木が丁寧に描かれてるのが個人的に気に入っています。木々の合間にみえる薄暗い空のグラデーションも丁寧に描いている。


ここ数年、わたべさんは文芸の方へも仕事の幅を拡げてきました。わたべさんの作品においては、暗めではあるけれど調和のとれた配色が特に素晴らしいと思うのですが、そういうカラーの世界とは違ってモノクロだけで描き出す挿絵の仕事に葛藤はあったでしょうか。最果ての地やオフィーリアといった空想の世界とは異なり、日本のサラリーマンの日常、男女間や親子関係、ビジネス物などその間には大きな壁を感じます。けれど、複数の小説誌から毎月定期的に依頼や連載があるということはわたべさんのフィルターを通して生々しい日常を描くということに編集部や作家の信頼を勝ち得てるのでしょう。


僕自身が原点としているモノクロ文芸挿絵の仕事から出発したように、わたべさんも今の経過をたどって今後どのようなお仕事を展開されるのか大変楽しみにしています。


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